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夏季学期、日本への出張などもあり慌ただしく毎日を過ごしているうちに、あっという間に8月になってしまいました。9月からは新学期が始まってしまいますが、定期的にこのブログも更新していこうと思います。今回は昨年とったHuman Resourceの授業について。
 
 
Human Resources Management
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昨年、香港理工大学(PolyU) School of Hospitality and Tourism Management (SHTM)のマスタープログラムに入学し、初めて取ったコースで正式名はManaging Human Resources in the Hospitality and Tourism Industry。修士課程の必修科目 (comppulsory subject)です。詳細はSHTMのProgram Structureをご参照頂くとして、39時間(3時間x13回)の講義になります。講師は毎年変わりますが、昨年はロシア出身のAssistant Professor, Dr Ksenia Kirillova。USAでPhDを取得しており、SHTMでは2015年から教鞭をとっているドクターです。彼女のCVによると、専門分野は”tourism experience (host and guest perspectives), outcomes of tourism experience such as recovery and well-being, and tourism aestheticst”とのことです。
 
 
ディスカッション・グループワークが多い講義
大学時代の1年間のエジプト留学時に、英語での講義を受けた経験はあったものの、10年以上ぶりの”海外での学生生活”。少々緊張して臨んだものの、ディスカッションやグループワークが多いインタラクティブな講義で、外資系企業で働いていたことも助けとなって、割と自然に授業に慣れることができました。ただし、一番苦労したのが英語の”アカデミックな単語”。初めて聞くような学術用語が頻出するため、最初のうちはリアルタイムで単語の意味を検索することに大忙しでした。
 
 
奥が深いホテル業界のHR
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サービス業のホテルビジネスにおいてHuman Resource Managementはとても大きなテーマ。ホテルP&Lの中でも人件費の占める割合は非常に大きく、いかに効率的なHR Managementをするかが大きな課題となっています。一言にHRといっても、リクルーティングからトレーニングから給与体系まで幅広いトピックがありますが、講義では”Strategic HR Managenment”に注目。企業全体のstrategyといかにalignmentをとってHRMを推し進めていくかということを体系的に学びます。具体的にはRecruiting, Training & Development, Compensation & Benefit, Labor Relation, Security & Sefatyについて、学術論文、業界のニュースやcase study, group projectを通じて学んでいきます。
 
 
”Professor for a Day”
SHTMのユニークなシステムのひとつに、業界のリーダーを講義に招待しケースをシェアしてもらう”Professor for a day”があります。アカデミックな講義が多い中で、業界の最先端で実務を執り行っている”一日講師”の講義はどれも興味深いものがあります。
HRの授業では香港の老舗5つ星ホテル・マルコポーロホテルのHR Directorによる、企業文化に関するケースを学ぶ機会がありました。
 
 
印象的だったグループプロジェクト
特に印象的だったgroup projectとして、ホテルインタビューがありました。興味のあるホテルを選び、直接HRにコンタクトを取り、インタビューを実施、そのホテルが抱えるHRのissueを見つけ、解決策を提示するというconsultancy projectです。
私たちのグループはマカオのSofitel Hotelを選択。当時マカオは中国の反腐敗・汚職摘発運動などの影響により、カジノの売り上げが前年比3割以上激減。それにともないホテル業過の稼働、売上も大きく落ち込んでいる状況でした。マカオの業界平均離職率は約24%とかなり高いレベル。そのような業界環境でHRがどのような課題・役割を抱えているかは非常に興味のそそられるトピックでした。
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Sofitelはフランス系AccorグループのLuxuryカテゴリーに属するブランドで、マカオには歴史地区からすぐの距離にあるSofitel Macau at Ponte 16の一軒のみとなります(408の客室と19の”Mansion”と呼ばれるスイート、5つのF&B outletがメイン)。また、オーナーはPier 16 Resort Hotel Management (Casino concessionerのSociedade de Jogos de Macau社とSuccess Universe Group LtdとのJV)で、ホテルの横でカジノコンプレックスを経営しています。

学生同士のプロジェクトのため、一筋縄でいかないところは多々ありましたが、Accorグループという巨大チェーンのHR policyがホテルレベルにどう落とし込みがされるか、GM, Line Managerを通じて如何にオペレーションに反映されているか、などを実例をもって知ることができました。また、人材がビジネスの要となるホテル業界。HRから各部署のline managerへの効果的な”HR devolution”とは何か、を考えさせられる良い機会ともなりました。
 
 

A.Makita
慶應義塾大学卒業(2004年)。米国公認会計士。
日系大手企業、米国系製薬会社でマーケティング、ファイナンスに携わったのち、大手外資系ホテル運営会社のファイナンスに転職。2015年9月より香港理工大学院・ホスピタリティ&ツーリズムマネージメントスクール(通称SHTM)の修士プログラムに入学。

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